耳管開放症とは

耳管開放症

鼻と耳は耳管と呼ばれる管でつながっており、耳の中の圧力を調節しています。
耳管開放症は、この管が常に開きっぱなしになる病気であり、自分の声が強く響くように聞こえたり、周囲の音がこもって聞こえたりします。
発症の原因は多岐にわたりますが、急激な体重減少、顎関節症、ストレス、不眠、末梢神経障害、腎透析、加齢、過度の運動、脱水、経口避妊薬の内服などが代表的です。男女ともに罹患することがありますが、特に30~40代の女性に起こりやすいと言われています。また、妊娠中はホルモンバランスが影響して耳管開放症になりやすいと考えられています。
そのほか、不快な症状を抑えるために、鼻すすりなどを繰り返すと滲出性中耳炎や真珠腫性中耳炎などの病気につながる可能性があります。

主な症状

耳管が開いているため、鼻側からの自分自身の声や呼吸に伴う圧力の変化が弱くならないまま直接耳側に伝わります。結果として「自分の声が大きく響く」「耳がつまった感じがする」といった症状がでます。症状ではありませんが、布団に横になる、深くおじぎをするように頭を下げたりするなどすると耳管の周りの血管が膨らんで管が狭くなるため、症状が一時的に軽くなるという特徴もあります(重度の場合は軽快しない場合もあります)。

主な検査

耳閉感や呼吸音聴取などの症状によって耳管開放症が疑われるときは、様々な検査を行います。
具体的には、中耳内の空気圧を測定するティンパノメトリー、鼓膜の呼吸性動揺を観察する耳鏡検査、聴力検査、咽頭所見の観察、CT検査などを総合的に実施し、確定診断につなげます。

耳管開放症の治療

耳管開放症の治療に際しては、まず生活習慣を是正し、主にお薬による治療を開始します。体重減少が原因の場合は、栄養をしっかりととって体重を落とさないこと、夏場は水分もしっかりとることが大切です。適度な水分補給、マスク装着による保湿・保温で症状が落ち着くこともあります。鼻をすする癖がある人に多くみられるため、日頃からすすらないようにすることも重要です。

妊娠が原因の場合は、妊娠が終了すると自然治癒しますので不快な症状がなければお薬は必ずしも必要ではありません。

また、生理食塩液を点鼻する生理食塩液点鼻療法、漢方薬などがよく用いられます。整理食塩液点鼻療法は生理食塩水のみを使用するので妊娠中の方でも安全に使用でき、軽症であればこれで改善が得られます。このほか、患者さまによっては鼓膜の動きを抑制させるために鼓膜にテープを貼ることもあります。こうした治療だけでは改善がみられない場合は手術療法を検討します。