耳垢塞栓とは

耳垢塞栓

耳垢は外耳道での分泌物に剥がれた皮膚やほこり、ゴミ、耳の産毛などが混ざってできています。細菌の繁殖を抑える抗菌作用、耳の湿度を維持してくれる保湿作用もあり、その機能の維持にも役立っています。通常、耳垢は自然に外耳道から排出されていくので、特段の問題を引き起こすことはありません。しかし、ご自身で耳掃除したりすると、耳垢が奥の方へと押し込まれて固まってしまうことがあります。お子様や高齢者も、うまく排出されずに耳垢が蓄積されていき、耳垢塞栓に至ることがあります。また、お風呂やシャワー、水泳などで外耳道に水が入ると、耳垢が膨張して塞栓の原因となります。

耳垢のタイプ

耳垢は、耳垢腺からの分泌量によってドライタイプとウェットタイプに分けられます。一般的には、分泌量が少なければパサパサのドライなタイプになり、多ければネトネトした飴状のウェットなタイプになると考えらえています。日本人はドライタイプが多く、8割以上がこのタイプです。ドライな耳垢であれば、自然と排出されることが多いのですが、ウェットタイプは外耳道内で付着しやすく、そのまま固まってしまうことがあるので、詰まりやすいという特徴があります。

耳垢がたまりやすい方

お子様

お子様は外耳道が狭いため耳垢が溜まりやすく、聞こえにくくなることがあります。この場合、ご家庭で外からみえる範囲を耳掃除すると改善することも多くあります。

高齢者

高齢になると外耳道の自浄作用が低下するため耳垢がたまりやすくなります。また認知機能が低下することで、耳垢が気にならなくなり、耳掃除をしなくなる方が多くいらっしゃいます。

イヤホンをよく使う方

昨今ではテレワークの普及によりイヤホンを使用する方が増えています。本来耳垢は耳の外に自然と排出されるため、ほとんど掃除がいらないと考えられますが、イヤホンをよく使用する方は耳垢がたまってしまうことがあります。

主な治療法

耳の中を顕微鏡で見ながら、鉗子や異物鉤、吸引管などを駆使して丁寧に耳垢を取り除きます。
耳垢が硬くなってなかなか取れないような場合には、耳浴を行って軟らかくしてから取ることもあります。
痛みが強かったり、頑固でなかなか取れなかったりするような場合は、2~3回に分けて除去することもあります。

耳そうじのし過ぎに注意

耳垢は自然と外に排出されますので、耳そうじは通常1か月に1回程度で人によってはまったく必要がありません。また、耳そうじをする際は固い耳かきではなく、柔らかい綿棒を使い先端で撫でるようにして耳垢を除去する程度にしましょう。