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風邪などの症状で鼻に炎症をきたしているときは、周囲の匂いなどを正確に嗅ぎ分けることが出来なくなりますが、風邪症状が治まると、徐々に回復します。
これに対し、嗅覚障害は、鼻がつまっているわけでもないのに、鼻が利かなくなる病気です。
そのようなときは、原因を調べるために問診、内視鏡検査、画像検査を行います。さらに、嗅覚障害の程度を調べる嗅覚検査などの結果を踏まえ、治療内容を決めます。最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でも嗅覚障害が報告されています。
嗅覚障害で現れる症状にはいくつかのパターンがあります。
鼻腔の奥には嗅粘膜と呼ばれるにおいを感じるセンサーの役割を持つ粘膜があります。鼻から入ってきた物質が嗅粘膜に達すると、その刺激の信号が神経を通じてにおいとして認識されますが、嗅覚障害はにおいの伝達経路のどこかに不具合ができることで発症し、原因によって大きく下記の3つに分類されます。
匂いの成分が嗅粘膜に到達できなくなることによる嗅覚障害です。慢性副鼻腔炎(特にポリープを伴う例)に多く、アレルギー性鼻炎も原因となります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で発症する嗅覚障害は、このタイプだと考えられています。嗅神経は、嗅粘膜を介して外気と接しているためウイルスの影響を受けやすく、嗅粘膜は新型コロナウイルスと親和性のある受容体(タンパク質)を持つのではないかと考えられています。
脳がダメージを受け、においの伝わる神経の障害により生じる嗅覚障害のことです。頭部の怪我による脳挫傷が多く見られますが、脳腫瘍、脳出血、脳梗塞なども原因となります。
嗅覚障害を引き起こしている原因によって治療法も異なります。このうち呼吸性と呼ばれるタイプでは、においの分子が嗅粘膜というセンサーまで届かない状態です。従って、鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などが解消されれば、すぐに嗅覚は戻ります。
嗅粘膜性は、風邪ウイルスなどによって嗅粘膜、つまり、においのセンサー自体に障害が生じている状態です。薬物で治療しますが、回復しないケースもみられます。混合性は呼吸性と嗅粘膜性が同時に起こった場合です。中枢性は頭部外傷などによる神経損傷が原因で、現在のところ、有効な治療法は見つかっていません。また、慢性副鼻腔炎の場合は、呼吸性の障害が多いため、鼻の手術で換気が良くなれば、においの感覚も改善します。